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産業医を選任しない場合の罰則

産業医を選任しない場合の罰則

ブログをご覧になっている皆様は既にご承知のことと存じますが、従業員数50名を超える事業所には産業医を選任する必要があります。従わない場合の罰則規定もあります。

労働安全衛生法第13条第1項には「医師のうちから産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならない」と記載されています。また、これを怠った場合50万円以下の罰金に処するという罰則規定が第120条に記載されています。産業医の設置人数については、安衛則第13条の2「常時千人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時五百人以上の労働者を従事させる事業場にあっては、その事業場に専属の者を選任すること。」同条3に「常時三千人をこえる労働者を使用する事業場にあっては、2
人以上の産業医を選任すること。」とあり、従業員数と労働者が取り扱う業務内容によってその必要数は変わります。安全衛生委員会の開催(第17条第1項、第18条第1項)、巡視(第30条第1項)は必須の産業医業務、それも罰則規定のある業務です。

話はこれで終わりません。厚生労働省の指定する条件を満たす企業であれば、産業医のみならず統括安全衛生管理者や安全管理者、それから衛生管理者も選任しなければ同様に罰金を課せられます。

健康診断に関しては、労働安全衛生法第66条1項に「事業者の実施義務」、同条5項には「労働者の受診義務」の記載があります。すなわち事業者による健康診断未実施は法律違反となり、50万円以下の罰金となります。

今年7月、新聞報道がなされたのでご存知の方も多いと思いますが、大阪市立高校全22校のうち12校で2007-2009年度、労働安全衛生法に基づく規則で定められている産業医による職場巡視が一度も実施されていなかったことが、弁護士らでつくる市公正職務審査委員会の調査で判明しました。産業医には報酬が支払われており、同委員会は11月26日、報酬の自主返還を求めるなどの措置を取るよう市教育長に勧告しました。同委員会が通報を基に巡視の実態を調べたところ、12校は3年間で一度も実施されず、他の高校もいずれも月1回未満でした。医師への報酬(月額1万6800~2万8千円)は3年間で計約1950万円で、全額が支払われていました。勧告では、市立小中学校でも同様の実態があった可能性があるとして、調査するよう求めています。

このような事例は他にも多数あるものと思われます。大阪市の事例はたまたま表面化しただけでしょう。月額28,000円というのは完全な名義貸し産業医といえます。産業医の名義貸しは違法行為です。医師個人が刑事罰、まではいかなくとも雇った企業は罰せられます。また、最悪報酬の返還を求められます。絶対にやめましょう。

罰則だけで済めばまだマシな方です。最悪書類送検もあります。
産業医の世界では有名になった大阪の印刷会社SANYO-CYP(サンヨー・シーワィピー)事件があります。この会社では、平成18年までの15年間にインクの洗浄作業などに携わった従業員と元従業員が相次いで胆管がんを発症し、死亡した9人を含む17人の労災が認められています。
大阪労働局は、換気が不十分な作業場で洗浄剤に含まれていた化学物質に高い濃度でさらされたことが発症の原因の可能性が極めて高いとしたうえで、平成25年4月、会社や工場を捜索するなどして調べを進めました。
その結果、少なくとも平成23年4月から1年間、労働安全衛生法で定められている産業医や労災を防ぐための管理者を置かず、さらに、会社と労働者が職場環境について話し合う衛生委員会を開いていなかったとして、大阪労働局は26日、会社などを労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。は、産業医や衛生管理者の未選任、安全衛生委員会の設置や実施がなかったために胆管がんの発症を17名引き起こしたとされています。これ労働安全衛生法違反で時効になっていない違反について送検したものですが、いずれも最高罰金50万円までの罪にしか問えないのです。
17名発症、うち9名死亡。5名は平成24年から25年にかけて発症確認され、2名が25年になって死亡しています。平成12年くらいから以降に、社長がこれらの法違反を犯して、安全衛生体制を普通にとらなかったことが、こうした被害の一層の拡大を招いたことが明かだ、ということから、立件に至ったものです。この事件の悲劇はまだ20歳代という若い従業員に胆管がんが発生してしまったことです。産業医の技量も人それぞれですが、どんな産業医であっても自分の担当している企業で2名「不思議ながん発症」があれば、専門的な意見を言うでしょう。

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